先日「建通新聞」に以下の文面が掲載されました。
写真だと読みづらいのですが、以下のようなことが書かれています。
「就業者養成に力を与えてください」
静岡県左官業組合
静岡県左官業組合では、毎年3月に、4~5年間左官工として技能を修めた方に修業証書を与える修業式を行っています。最盛期の昭和45年頃には、200名くらいの左官工が育っていました。それが最近の3~4年では10倍以下となりました。去年8名、今年は7名と、非常に寂しい修業式でした。また、技能者も高齢になり現場作業に体がついて行けないものが多く、先行きの見通しが暗いのが現実です。また離職していく方も多く、左官人工は年々減っています。
これは日本国中で見られる現象です。しかし、今までは建築様式の変化、工事量の減少等で職人不足は、事業者間の貸し借りで切り抜けてきました。しかし、もう限界です。公共工事の年度末完成、引き渡し、マンション関連の3月竣工と工事が集中すると、全ての仕上げ業者が悲鳴を上げるのです。また、大型物件をこなせる業者も数少なくなり、全体的に施工能力の低下が見られる上に、工期末には無理な工程もこなさなければなりません。このような状況の下では、日曜も祝日もありません。私たちのような業界は労務集約型であり無理がききません。労務管理なども、言ってはいられないのです。注意力の散漫、慣れから来る油断等、労働災害に結びつく要因が重なり合っています。ですが、工事は間に合わせなければならないのです。元請けからはいつまでに終了してくれだの、職人を増やしてくれだのとお願いだけです。
私たちは下請けの弱みから従業員に無理をさせてしまうのです。それなのに元請けからは頑張らせた分の恩賞もなく、職人達には還付が出来ないのです。苦労して仕事を納めるには、応援等高い職人を頼んで出費はかさむばかりです。
こんな職業を誰に継がせられましょうか!後継者は現れないのです。事業主も耐力、気力が衰え、いつ廃業しようか考えている人が多いのです。また無理に継続しても先行き好転の見込みが無く、倒産という憂き目を覚悟せざるをえません。これは野丁場施工業者の話し合いでの現況です。
これで良いのでしょうか?左官工の入らない建築現場などあり得ません。共存共生なくして、今の日本の建築工事のシステムは成り立たないのですね!元請けの方々もダンピング受注したり、下請け泣かせばかりしている時では有りません。建設業界全体が疲弊して、安全な建物が建てられなくなりますよ!
どうか一専門工事のことだと思わないで、大所高所からの英断で善処して戴ける事を切にお願い申し上げます。
・・・。
左官職人の減少は団塊世代の定年と共に急激に進んでいきます。
他の専門工事も同じ問題を抱えていますが、左官職人は育つまでに時間がかかるというのが他と違うところです。
元請けは公共工事の減少から、生き残りにかけてさらに必死になるでしょう。
その影響が下請けにくることになりますから、きつい仕事で安い給料の職場になってしまいます。
これでは若い職人にとっては全く魅力がありません。。。
建設業界のシステムの問題もあると思いますが、そんなに卑下していても仕方がありません。
どうやら今できることから少しずつ前に進んでいくしかなさそうです。