「漆喰」と「珪藻土」でどちらが機能が上か?がよく分からない理由です。
(今回は文章長いですよ~。興味のある方は頑張って読んで下さいね)
理由はいくつかありますが、主な要因は、「同じ条件での実験データがないため」です。
どういうことかというと、珪藻土のメーカーの多くは、「吸湿性能のデータ」を公表しています。
調湿のデータを出す実験の方法としては、
例えば
A「温度25℃、湿度90%の時には1㎡当たり何グラム湿気を吸っているか?」
と、
B「温度25℃、湿度50%の時には1㎡当たり何グラム湿気を吸っているか?」
の2つを実験して、その差(A-B)を「吸湿性能」とか「吸放湿特性値」などといってデータを出しています。
おおよそですが、湿度70%以上の時は湿気を吸います。(逆に、湿度70%以下の時は湿気を吐きます)
つまり、Aで70g/㎡でBで20g/㎡だとしたら吸湿性能は50g/㎡ということになります
これが基本です。
ところが、各メーカーのデータを見てみると、
・温度設定が違う。(例えば24℃などで実験をしている)
・湿度設定が違う。(例えば45%などで実験をしている)
・「温度23℃±2℃、湿度90%±5%」などと±の誤差を表示している。
・単純に湿気を吸ったときの(Aだけの)データを出している。
・そもそも、このような実験結果を公表していない。
というように、統一されていません。
湿度や温度が違えば当然、吸放湿のデータも違ってきます
その他にも分からないことがあります。
<珪藻土編>
・産地別で珪藻土そのものの実験値だけ出している。
・珪藻土を「焼いた」ものと「焼かない」もので性能の差があるそうですが・・・?
・珪藻土自体は水で練ってから乾かしても固まりません(自固性がありません)ので、他の媒体(固化剤)を混入します。例えば「石灰」「石こう」「粘土」「セメント」「樹脂(エマルジョン?)」などです。
ではどの固化剤が一番良いのか?
・樹脂が入ると機能が落ちるといわれているが、どのような割合を入れると機能が落ちていくのか?
・そもそも珪藻土は何%含まれているのか?
<漆喰編>(漆喰は「消石灰」+「糊」+「スサ」で構成されています。)
・消石灰と石灰クリームではどちらが機能が上か?
・消石灰でも「塩焼き」「俵灰」などの種類があるが機能の差は?
・糊が入ると機能が落ちるのか?
・糊が入らない「土佐漆喰」は機能は高いのか?
・糊の種類(ぎんなん草、つのまた、メトローズ(?))などの混入によって機能の差は?
・年数が経過すると、機能は変化する?
・「既調合の漆喰」と「自分で配合した漆喰」では機能の差は?
・・・そんなことを考えていると、一概に「珪藻土」とか「漆喰」とか言っても、とにもかくにもいろんな種類があるので、(素材そのものでの比較ができないので)どっちが機能が上かなんてやっぱり分からないのです。。。
でも、すべてデータを出す必要があるとも思いません
左官の壁はその日の温湿度によって塗る材料の配合を変えるものです。
機能ばっかり気にしていたら、塗れなくなってしまいます。
それに、人間がが感じるの不快指数も温湿度によってばらつきがありますし、その人によって感じ方も違います。
分かりやすくいえば、「ラーメン」
ラーメンは、色々な種類がありますし、いろいろな素材が入っています。そして、それがどのような配合になっているかは企業秘密ですし、ラーメン屋さんのおやっさんは自分の店が一番おいしいと思っていますし、ラーメンの好みはみんな違います。
珪藻土が登場して、左官壁が持つ機能に注目されるようになりました。
ある程度のデータは必要かも知れませんが、(悪質な偽装した材料でないかぎり)
「この壁を塗ってじめじめしなくなったし、臭いもしないし、色も風合いも良くて・・・」なんて人の感性で喜んでいただけるのが、左官の壁の良いところなのではないでしょうか?
完