このシリーズ、今回でラストです。
この研修会では、100ページ以上のとても分かりやすいテキストをいただきました。
その最後の方に、左官の興味深い研究の概論が掲載されていました。
2004年に発表されたものですが、研究内容は、「珪藻土を添加した無機質系塗材の吸放湿性に関する研究、その2 現場で珪藻土を添加する場合を想定した吸放湿試験に関する研究 」山本 康義, 鈴木 光, 三原 斉, 富永 萌, 吉田 一帆
というものです。
つまり、分かりやすくいうと「漆喰、せっこうの吸放湿機能と、その中に珪藻土を混ぜたときには吸放湿機能がどう変化するか?」というものです。
結果
- 漆喰、せっこうそのものにもある程度(約80g/㎡)の吸放湿機能があること。
- 漆喰、せっこうに珪藻土を混入すると、珪藻土の細かい孔に影響がでる。
- 珪藻土を混入するには、粉末よりも粒状(1㎜程度)のほうが細かい孔に影響が出にくいので、吸放湿の機能が上がる。
- 粉末の珪藻土に化学処理※を行い、吸放湿機能を高めた珪藻土を混ぜると、吸放湿の機能が格段に上がる。(※化学処理の内容は記述がありませんが、熱処理なんでしょうか??)
もっと分かりやすく言うと、漆喰やせっこうに珪藻土を混ぜるとき、珪藻土の大きさや種類によって、水分の吸放湿の機能が変わる。ということのようです。
この研究はあくまでも、既調合の漆喰やせっこうに、珪藻土を混ぜたもので、「市販されている珪藻土」の左官材料とは全く関係ないです。
また、一般的に言われる「樹脂系の珪藻土」の左官材料の場合も違う傾向が想定されますが、関係ないものです。