ジョリパット〈アイカ工業〉という樹脂系の塗り壁材があります。一般的には住宅の外壁や外構の門柱等に塗ることが多いです。色や模様のバリエーションが多く、日本で最も塗られているといっても過言ではない有名な優れた材料です。
ですが、数ある模様(パターン)の中で、私が個人的にいつも難しいと考えている仕上げがあります。
それは「校倉(あぜくら)仕上げ」です。これは櫛(くし)を使って横に引くことから「櫛引き仕上げ」といった方が分かりやすいかもしれません。
では、なぜ難しいと考えているかというと、櫛引の中にも施工方法のバリエーションがたくさんあるからです。
バリエーションを箇条書きに書くと、
①砂利の大きさ…砂利を大きくすると粗い模様になり使い分けることができます。
②ジョイント…つなぎ目と同じ意味ですが、櫛を途中で抜いたり、入れたりすることで模様が変わります。
③フリーハンド…フリーハンドで櫛を引くか、定規を当てて一直線に引くかで模様が変わります。
④厚み…塗り厚が厚いと櫛目の三角模様に、薄いと冨士山のように頂上がとんがり模様にならないです。
ということで、若手の職人にサンプルを作ってもらいました。
これは、木の定規を当てて、一直線になるように櫛を引いているところです。
逆に、これはフリーハンドで櫛を引いているところです。
そんな感じで以下の4種類の見本ができました。
①フリーハンド・櫛のつなぎ目なし
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②フリーハンド・櫛のつなぎ目あり
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③定規使用・櫛のつなぎ目あり
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④定規使用・櫛のつなぎ目なし
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いかがでしょうか?まずは第一印象でどれが好きですか??
このような感じを我々下請けの左官屋が、関わる全ての人(「お施主様」「元請」「設計事務所」)にしっかりと伝えてから施工を行わないと、イメージが違う!!ということでやり直しになることもあります。
個人的に難しいと思うのは、「施工方法」のことではなく、実は「正しく分かりやすく関わる全ての人に伝える」ということかもしれません。